食事から摂取した炭水化物はブドウ糖として血液中を循環し、細胞が活動するためのエネルギー源として利用されます。
こうした血液中のブドウ糖の濃度を血糖値といいます。
ちなみにブドウ糖を細胞内に取り込む際に、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンが必要になります。
インスリンを分泌する能力が低下する、インスリンの効果が低下するなどの原因により血糖値が高くなるのが糖尿病です。
日本では糖尿病と糖尿病予備軍を合わせて約2,000万人いるとされています。
● いろいろな遺伝因子
● 過食、肥満、運動不足、ストレスなどの環境因子
● 加齢
血糖値が正常値より少し高いくらいでは、自覚症状はありません(空腹時血糖値の正常範囲は70〜110 mg/dl)。しかし、自覚症状がなくても、適切な治療を開始しないと徐々に血糖値が高くなってしまいます。こうして著しい高血糖(200〜300mg/dl超)が持続するとようやく症状が出始めます。
食事療法、運動療法、薬物療法が治療の三本柱ですが、患者さんごとに病態や問題点は異なります。それぞれの患者さんの病態に応じて治療方法を調整することが大切です。
また、糖尿病という疾患に対する、正確な知識を得ることも非常に重要です。
糖尿病の治療目標・内容は患者様の病態、年齢、健康状態、ライフスタイルにより個々に設定する必要があります。
また糖尿病の治療薬は内服薬から注射薬まで多種あり、それぞれに特徴があり選択には経験を必要とします。組み合わせによっては低血糖昏睡の危険性があります。
内服治療からインスリン治療まで今までの経験をもとに、個々の目標を達成できるよう治療に携わらせていただきます。
食事療法は糖尿病治療に一番大きな影響を及ぼします。そのため当院では、管理栄養士による個別指導を必要時に予定します。
また、糖尿病の知識や指導経験を有するスタッフによる相談を併せて行うことで薬物治療の効果を高めます。
HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)とは、2ヶ月間の血糖変動の平均の高さを表す指標で、糖尿病の治療効果や経過を評価するための検査値です。
当院ではHbA1c値を受診当日にお伝えします。
結果を早く知っていただくことで、糖尿病の状況により関心をお持ちいただき、状況の悪化時には素早く対処することが可能になります。
検査方法はHPLC(高速液体クラマトグラフ)という高精度の検査方法にこだわっています。
HbA1cの高値が持続すると総合病院に紹介され2週間程度の入院になることがよくあります。
当院は糖尿病専門医として治療の開始・見直しはもちろん、集団指導を行い知識の獲得・指導を出来得る限りのことを外来で行い、仕事や日常生活に対する影響が少なくなるよう努めたいと考えています。
しかし外来通院で治療目標を達成できない時や、集中的な治療が必要な場合は、総合病院での入院治療を検討いたします。
療養相談室での相談風景
集団指導風景
HPLC(高速液体クラマトグラフ)
CASE 01
軽度の血糖値異常や軽症の糖尿病に早期に対処することこそが重症化を防ぎます。自覚症状がないからといって放置しておくことは危険です。
事前に電話でご予約いただき、朝空腹状態で受診した場合、糖尿病の診断に必要な負荷試験を当日行うことができます。
CASE 02
コントロール不良の状態で治療を中断したり、漫然と治療を継続していると、知らぬ間に合併症はどんどん進行してしまいます。
CASE 03
検診での血糖値異常や糖尿病を指摘されたことがない方でも、妊娠中に血糖値の調節がうまくいかず妊娠糖尿病と診断されることがあります。安全に出産をむかえる為には、妊娠糖尿病治療の管理(食事療法やインスリン治療など)が大切です。